沖縄旅行で食べた「アグー」が忘れられなくて、通販で買おうとしたとき、気づいたことはありませんか?「アグー」「あぐー」「琉球あぐー」「美ら島あぐー」「やんばる島豚あぐー」……なんか、いろいろある。これ、全部同じなの?
じつは、「アグー」という言葉の裏には知れば知るほど面白い世界が広がっています。今回は、アグーをもっと楽しむために知っておきたいことを、まるごと解説します。
「アグー(カタカナ)」と「あぐー(ひらがな)」は別物
まず驚く人が多いのが、表記の違いです。カタカナの「アグー」とひらがなの「あぐー」は、じつは定義がまったく異なります。
カタカナの「アグー」は、琉球王国の時代から沖縄に根付いてきた在来種の豚そのものを指します。一方、ひらがなの「あぐー」はJA沖縄(沖縄県農業協同組合)の登録商標で、アグーの血統を50パーセント以上引き継いだ豚肉に使われる名称です。つまり、純粋なアグーではなく、アグーと西洋豚を掛け合わせた交雑種も「あぐー」と呼ばれています。
さらに、JA沖縄と許諾契約を結んでいない事業者は「アグー」「あぐー」「AGU」いずれの名称も使用できません。お店やパッケージで「アグー」と書いてあれば、その裏にはきちんとした認証が存在しているわけです。知らなかった人、多いのでは?
一度は30頭まで減った、奇跡の豚
アグーがここまで話題になる理由は、その波乱万丈な歴史にもあります。14世紀末に中国から琉球へ渡ってきたとされるアグーは、戦前には沖縄全土で10万頭以上が飼育されていました。琉球王国の時代から人々の食を支え、お祝いの席には必ずアグーが登場するほど、沖縄の文化に深く根ざした存在でした。
ところが沖縄戦によって壊滅的な打撃を受け、戦後にはわずか30頭にまで激減。このまま消えてしまうかと思われた豚でした。それを救ったのが、1981年から始まった地道な保護活動です。農業高校の教員と博物館館長が中心となり、残された個体を少しずつ増やしていきました。現在は600頭以上にまで回復し、沖縄の食文化を支える豚として見事に復活しています。
絶滅の危機を乗り越えてきた豚だからこそ、一口ひとくちに重みがある——そう感じる食通が多いのも、アグーならではです。
なぜブランドがいっぱいあるの?
アグーを名乗るには、沖縄県アグーブランド豚推進協議会の認定を受ける必要があります。その認定をクリアした上で、各生産者が独自のこだわりを加えてブランド化しているため、複数のブランドが存在します。
飼育環境・飼料・交配の血統割合・肥育期間——それぞれ生産者ごとのポリシーが異なるため、同じ「アグー系」でも個性が出ます。「どのアグーを食べるか」は、ワインの産地を選ぶような感覚に近いかもしれません。
代表的なアグーブランド
現在、協議会が認定しているブランドは12種類以上。代表的なものを紹介します。
沖縄あぐー
沖縄を代表するアグーブランド。流通量が最も多く、はじめてアグーを食べるならここから。
琉球あぐー
アグーの純血に近い血統にこだわったブランド。希少性が高く、取り扱いは一部の店舗のみ。
美ら島あぐー
沖縄の豊かな自然の中で育てられた、飼育環境の良さにこだわるブランド。
やんばる島豚あぐー
沖縄北部・やんばる地域の自然環境で育てられたブランド。土地の個性が肉に宿る。
パイナップルポークあぐー
飼料にパイナップルを配合した個性派。甘みのある脂が特徴で、沖縄らしさが詰まっている。
紅あぐー
赤みがかった美しい肉色が特徴の希少ブランド。脂身と赤身のバランスが良く、さっぱりとした後味が楽しめる。
アグーの肉質、何が特別なの?
アグーが「沖縄一のごちそう」と長年呼ばれてきたのには理由があります。最大の特徴は、脂の融点が低く口の中でとろけていく食感です。くどさがなく、食べるほどにうま味が広がる。しゃぶしゃぶや沖縄そばのだしに使うと、その旨みがさらに際立ちます。一般的な豚肉とはまったく異なるこの感覚を、一度体験すると忘れられません。
またアグーは産子数が少なく発育も遅いため、大量生産ができません。手間と時間をかけて育てられた希少さが、アグーの価値と価格を支えています。
アグーで食べたい代表料理
アグーの旨みを最大限に引き出してくれる料理を紹介します。
しゃぶしゃぶ
アグーといえばまずこれ。薄くスライスした肉をさっとくぐらせるだけで、脂の甘みと旨みがそのまま伝わってきます。締めの雑炊まで飲み干したくなるほど、出汁が美味しいのもアグーしゃぶしゃぶの醍醐味です。
ラフテー
沖縄の豚の角煮。バラ肉をじっくり煮込んだラフテーは、アグーの脂身のとろけ方が格別です。泡盛と醤油でじっくり煮含めると、箸でほろりと崩れるやわらかさになります。
沖縄そばのトッピング
アグーの三枚肉やソーキ(スペアリブ)を使った沖縄そばは、スープにコクと深みが増して別格の美味しさ。沖縄に行ったら「アグーそば」を提供する店を探してみる価値があります。
チャンプルー
沖縄の炒め物「チャンプルー」にアグーを加えると、脂身から出る旨みが全体のコクを底上げしてくれます。ゴーヤーチャンプルーとの相性は特に抜群です。
まとめ
「アグー」と一口に言っても、純粋種か交雑種か、どのブランドか、どんな飼育環境か——で中身はまったく異なります。次に沖縄でアグーを食べるとき、あるいは通販で買うときは、ぜひ「どのアグーか」を確認してみてください。選ぶ楽しさが倍になるはずです。
TokyoPorkPlusでは、沖縄のアグー系ブランドを複数紹介しています。気になるブランドをぜひ探してみてください。

